見たんだけど、ほんと、この人たちはスゲーと思う。
以下、ネタバレ要素を含みます。
実を言うと、俺も東京でベーシストとしてバンド活動をしていたことがある。
20代の前半でやめちゃったけど、そのときは必死でやってたなぁ。
基本的に曲を書いていたのは俺とボーカルで、出来上がったフレーズを各パートと擦り合わせていくんだけど、
これがバンドメンバーの好みのジャンルがみんな違うので厄介だった。
ELLEGARDENは細美氏が基本的に作詞作曲をおこなっているようで、追い詰められていった部分も、作中では紐解かれていくわけだが、
似たような感覚に陥ったことは何度かある。
というのも、曲を作る→徹底的なダメ出し→作り直す→自分の考えたフレーズがわからなくなる→客ウケも悪い→ボツ。
が当時の俺の作曲の流れだった。
歌詞はボーカルに一任していたので、曲だけで苦しんでいたんだけど、
それだけだってしんどかった。
こう弾いてみてほしい、こう叩いてほしいといった考えを押し付けるのはよくないと当時は思っていた。
でも、今となっては作曲者を前提にアレンジしていくことが悪いことではないと思えるようになってきた。
そして、かつて「本気」だと思っていた自分の熱量やベクトルは、
この人たちから比べたら全然本気でもなんでもなくて。
むしろ、甘いことだけしか考えてなかったなーっていう。
路上ライブやCDショップへの売り込みなんてそもそもやっていなかったし、
それで客が入らないことへの諦めを口にしていたことが情けない。
あと、「いい曲だけど売れない」って言われたことに対しての考え方や姿勢は、
当時の自分達では絶対に発想することのできないことであって、
やっぱこの人すげーなぁと改めて思い知らされた。
というのも、業界の方に「業界人にはウケるけど売れない」と言われたことがある。
当時は「そんなん言われても関係ないし、むしろ時代が追いついていない(?)せいだ」
と人のせいにしていたもので、この部分を細美氏は
「料理屋を出店するときに美味い店だけど売れないってことと同じ」
と捉えた。
この考え方ってすごく深いなぁと思ったわけで。
細美氏にはROCK IN JAPAN 2006(だったかな)で、10FEETか何かの前に屋台に並んでいるところを偶然嫁が発見、話しかけたことがあり、
「ここらへんの池でバスって釣れるの?」とか「釣りいきたいけどいいところない?」なんて話をしたことがある。
もちろん地元ではないので「わかりまへん。でへへ」とか何とか言った記憶があるが、
きっと、彼のふんわりしたプライベートモードと音楽活動に対するモードは天と地ほどの差があるんだろうな。
(なお、WRONG SCALEの野田氏も近くにいて、野田氏とは写真撮れた。笑)
まぁ、ほんと、当時の自分に見せてやりたいね。
そしたら、1万分の1くらいの確率で、今もステージに立っていたのかもしれないな。
なーんて思ったのでした。